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遺されたもの

2008.11.11

筑紫哲也さんが亡くなってしまった。本当に悲しくて、映像が流れる度、涙ぐんでいたけれど、今夜は泣くだけ泣こうと特番を見ていた。筑紫さんは、いつも穏やかな笑顔と語り口で、時には権力とケンカが出来た人。時代の流れをチェックし、警鐘を鳴らし、分かり易く伝えてくれた人。ニュース番組で知る限りでも、知性とユーモアと優しさのバランスは羨ましいほどで…。だから、耳を傾けたくなったのだろう。『多事争論』の前に『最後の』と付く。また涙です。

それにしても、きちんと物申してくれる存在を失ったからだろうか、悲しみに不安感が付いてくる。11月に入り、街もクリスマスの華やかさをまとい出したから、余計にそう感じるのか。終わりのない、幸福な形とされるリースを作りながら、少し覚えた不安も尾を引くのです。

リースを飾って、誰かと過ごしたり、誰かの幸せを願ったり出来るクリスマスが、どうかこれからも続きますように。そして、自分に出来る事、出来そうな事を考えていると、雲の切れ間から、未来が覗き見えて、楽しそう!となってくる。大きな発信者にはなれなくても、笑顔とおしゃべりを共有し、ささやかでも心楽しい場を提供できる個でありたいとも思います。

筑紫さんのご冥福を心からお祈りして。合掌。