2009.04.06
日常に起こる「あら、不思議!まあ、偶然!」な現象は、心理学で言うところ、『シンクロニシティ』(意味のある偶然の一致)となるのかも…。浅~い知識ながら、最近重なり合った出来事は、まさにそんな感じ。驚きつつ、引っ張り出した二十歳前後の感性は、かなり赤面ものですが、それでも、大昔の課題を添削をして頂いたような、有難い気持ちにもなりました。少し前のコラム『Life』の後、「そうだ…」と思い出し、本棚の奥から探し出した古い詩集。少々黄ばんだ紙の上で、言葉は変わらずに、もの凄く瑞々しかった!
さて、改めてのご紹介になるのでしょうか。新川和江さんと言う詩人をご存知ですか?現代詩の世界ではパイオニア、大家と、どれも当てはまり、教科書にも掲載される『私を束ねないで』は特に有名な一編です。その方の詩に、私が最初に触れたのは、小学生(!)の頃で、家族で訪ねた親戚の、既に社会人の従兄弟の部屋で、時間潰しに読めそうだったのが、詩集だったと言うわけです。たくさんの詩人による作品の中で、残念ながら詩のタイトルは記憶に残っていない。ただ、10歳位でも、どれ程鮮烈にココロに飛び込んだのか、「とにかくスゴイ人」と認識したまま、とうとう卒論のテーマにもさせて頂いたのです。あれから、月日はかなり流れて…。(しみじみ)
あの頃君は~。と、懐かしいページを繰る。
で、どこが、『シンクロニシティ』か。
新川さんの詩の中には、子供の誕生をテーマにしたものがいくつもあって、この春ご出産される3人の生徒さんだった方に、とっておきの言葉の贈り物になるかしらと、もう一度読みたいと思ったのです。特に『赤ちゃんに寄す』と言う詩が大好きで、コラム用に『お誕生に寄せて』と、タイトルまでは決定していたのですが、丁度、慌しい時期だった事と、著作物のご紹介なので、どうまとめようか考えているうち、そのままになってしまいました。その間、1ヶ月余り。新川さんは今もお元気かしらと思いながら、ブルーのハードケースに収まった詩集は、ずっとリビングにありました。
すると!先週の事ですが、夕刊にご本人の近影と共に、記事が連載されていたのです。実際は、大変なご活躍でも、メディアへの露出度はそう多くはなかったと思うし、多分、20年位は開かれなかった手元の一冊、その作者が!このタイミングで!「え~~~!」
記事の中、新川さんの言葉から。「いい詩とは、自分の心に響くかどうか。自分の心に響かなければ、縁の無い詩だと思っていればいい。」そして、「君はどう思う?」という教育の必要性も説いてらっしゃいました。これは、これからの子供達、大人達への貴重な提言。連載のタイトル【人生の贈りもの】(朝日新聞)そのままのメッセージなのでした。
(それにしても、したり顔でコラムを書かなくて良かった~。)
普段は馴染みなく過ごしていても、詩の世界もいいものです。きっと新鮮に響くはず。久し振りの私も、小説やエッセイにも負けない、ボリュームのある満足感を頂きました。機会を作って、是非お試しを!
追記
もうひとつ、『シンクロニシティ』に加えると。ブログで、本などの著作物を紹介をしたい時、どこまで気を付けたらいいのか、ガイドラインが欲しかったところ、数日前の新聞に記事が掲載されていました。気になっていた人に偶然出会ったり、欲しかった情報が得られたり。こういった偶然は有難い。